YAオープニングイベント

みんなで好きな本について語ろう様子1

7月31日(日)立石図書館オープニングYAイベント 『みんなで好きな本について語ろう』が行われました。
みんなでオススメの本を持ち寄り、紹介し合う読書会形式のイベントでした。

全部で9名の中高校生たちが参加してくれました。また日本YA作家クラブから片川優子さん、金原瑞人さん、梨屋アリエさんも参加してくれました。
また立石図書館と水元図書館の職員も参加させていただきました。

このページはそのイベントを様子をご紹介いたします。

参加してくださった日本YA作家クラブの方々

日本YA作家クラブとは、日本語でヤングアダルト作品を発表している、書き手(作家、翻訳家)がメンバーとなっている団体です。
今回のイベントには片川優子さん・金原瑞人さん・梨屋アリエさん(五十音順)が参加してくださいました。
それぞれのプロフィールをご紹介します。

○片川優子さん
【プロフィール】
1987年生まれ。 中学3年生のときに書いた『 佐藤さん 』で講談社児童文学新人賞佳作を受賞し、同作品で2004年に デビュー。
現在、麻布大学獣医学部で学びながら、執筆をつづけている。

【主な著作】
動物学科空手道部1年高田トモ! シリーズ 』『 ジョナさん 』など

【お会いしてみて】
中学生でデビューして現在も大学生の片川さん。
今回のようなイベントに参加するのは初めてで、緊張していたそうですがとても落ち着いてみえました。

○金原瑞人さん
【プロフィール】
1954年、岡山県生まれ。 法政大学教授、翻訳家。

【主な翻訳書】
魔使いの弟子 シリーズ 』『 青空のむこう 』など

【お会いしてみて】
イベントでは主に司会役を引き受けてくださり、参加者がオススメしてくれた本にも積極的に質問したり、 場を盛り上げてくださいました。
今年で57歳だそうですがとってもお若い印象でした。 大学の教授をなさっているということで、とても豊富な知識でいろいろ面白い話をしていただきました。

○梨屋アリエさん
【プロフィール】
栃木県生まれ。 作家。
でりばりぃAge 』で第39回講談社児童文学新人賞、『 ピアニッシシモ 』で第33回日本児童文芸家協会新人賞を受賞。

【主な著作】
夏の階段 』 『 プラネタリウム 』など

【お会いしてみて】
YA作家クラブの読書会や様々なイベントなど精力的に活動なさっています。
今回の読書会でも図書館職員との直接のやりとりをしてくださいました。

オススメの本の紹介

イベントは午後2時からはじまりました。
参加者のみなさんは緊張している様子でした。
残念ながら欠席が2名ほどでてしまいましたが、全体で14人(作家3人・図書館職員2人)、1つの輪になって座り、イベントスタートしました。

まずは梨屋さんが司会者となって参加者の自己紹介からはじまりました。
自己紹介では自分の名前・通っている学校名・学年・趣味などを話してもらいました。

続いて金原さんが司会者となっていよいよ本の紹介スタートです。

紹介者1 宇梶さん(小学6年生)
趣味: 読書、最近は『フェアリーテイル 』が好き。

紹介本: 『 しゃばけ 』 畠中恵/著 新潮社 

どんな本?・オススメポイント
江戸時代が舞台のお話で、主人公の一太郎はお金に恵まれている、廻船(かいせん)問屋の一人息子です。
「しゃばけ」という名のとおり妖怪が登場し、妖怪が関連している事件を一太郎が解決するお話です。

紹介後の質問や意見
参加者: どうして主人公は妖怪が見られるのですか?
宇梶さん:主人公のお祖母さんが妖怪だったからです。
参加者: お祖母さんとお祖父さんの出会いが書かれているお話はあるんですか?
宇梶さん:シリーズの途中で紹介している話があります。

しゃばけ質問や意見

紹介者2 内田さん(立石図書館勤務)
趣味: 旅行、国内旅行も海外旅行もどちらも好き。

紹介本: 『 チェンジング 』 吉富多美/著 金の星社 ISBN:9784323071244

どんな本?・オススメポイント
小学校5年生の主人公がクラスの数人にいじめられていて、ある日主人公がお料理の先生の家へ逃げ込みます。
それをきっかけに主人公は料理を習うと共に、食材にはさまざまな味があることを知り、また人にもさまざまな 味があることを知ることになり、また、いじめられていたことにも向き合うようになる。
久しぶりに泣ける作品だったのでおすすめに持って来ました。

紹介後の質問や意見
参加者: その本を読むと料理をつくれるようになりますか?
内田さん:作りたくはなります。
参加者: 実際に作ってみましたか?
内田さん:まだ作っていません。
参加者: 表紙の絵は何ですか?
内田さん:主人公が運動会で使う旗に描いたはやぶさです。

 

紹介者3 太田さん(立石図書館アルバイト)
趣味: 絵を描くこと。 小説は読むのも書くのも好き。ライトノベルをよく読む。

紹介本: 『 月のしかえし 』 ジョーン・エイキン/文・アラン・リー/絵・猪熊葉子/訳
徳間書店 ISBN:419860397

どんな本?・オススメポイント
西洋の伝承をもとにした絵本です。音楽で一番になりたい主人公が、森の中の悪魔の家と言われているところに行くと、
その家から声が聞こえてきて、月に向かって1週間靴を投げると願いが叶うというのを知り、1週間投げました。
ところが靴が汚く、月が怒ってしまい呪いがかけられた話です。絵がきれいなのが気に入りました。

紹介後の質問や意見
参加者: 投げた靴は返ってくるのですか?
太田さん:いらない靴を投げたので返ってきません。
参加者: どこでその本を見つけたのですか?
太田さん:図書館です。

つきの仕返し様子

紹介者4 小柴さん(中学1年生)
趣味: 読書。ライトノベルをよく読む。部活は演劇部。

紹介本: 『 いつか天魔の黒ウサギ 』 鏡貴也/著 富士見書房 
ISBN:9784829133477

どんな本?・オススメポイント
高校1年生の主人公がトラックに轢かれて、昔女の子とした約束を思い出して助けに行くお話です。最近アニメ化しました。
本には学園リバースファンタジーと書いてありますが、ギャグやラブコメのお話です。


参加者: 舞台は現代の日本ですか?
小柴さん:現代の日本ですが、異次元も出てきます。
参加者: ライトノベルの中でこの本を持ってきてくれたのはなぜですか?
小柴さん:最近テレビでも放送しているからです。

いつか天魔の黒ウサギ

紹介者5 片川さん(作家)
趣味: 空手。

紹介本: 『 レヴォリューションNo.3  』 金城一紀/著 講談社 ISBN:406210783X

どんな本?・オススメポイント
落ちこぼれの主人公たちが有名高校の文化祭に忍び込むお話です。
読んだのは中・高校生の頃でした。面白い話が好きです。登場人物がみんな魅力的です。

紹介後の質問や意見
参加者: 高校生の頃読んだということは、高校生ってこうだよね、と思いましたか?
片川さん:このお話は男子校の生徒が女子高へ忍び込むのですが、自分は女子高だったので、男子校ってどんな世界なんだろうと思いました。

レヴォリューションNo.3

紹介者6 石田さん(高校1年生)
趣味: フォークソング部に所属していて、ギターを弾いている。

紹介本: 『 デルフィニア戦記  』 茅田砂胡/著 中央公論新社 ISBN:4122041473

どんな本?・オススメポイント
全18巻の本で、第一部は血筋が正しくないと王座を追われた男が、ある少女と出会い王位を奪還するお話です。

紹介後の質問や意見
参加者: 男性的なお話ですか?
石田さん:迫力があって面白いです。
参加者: 女の子は魅力的ですか?
石田さん:人間離れした能力があります。本当は少年なんです。
参加者: 全巻読みましたか?
石田さん:読みました。
参加者: どの部分が好きですか?
石田さん:最初の王座奪還までのお話が好きです。

デルフィニア戦記

紹介者7 小澤さん(高校3年生)
趣味: スポーツ全般が好き、特にバスケットボール・水泳

紹介本: 『 心霊探偵八雲 』 神永学/著 文芸社 ISBN:4835583442

どんな本?・オススメポイント
主人公は生まれつき左の目が赤く、死者の魂を見ることができ、その左目を使い事件を解決していきます。
最初の事件はある日、ヒロインが肝試しをしに出かけます。
そうしたら本物の霊が現れてヒロインの友達が霊にとりつかれてしまい、主人公に助けを求めます。

紹介後の質問や意見
参加者: 中・高校生に人気のある作品ですが、読んだきっかけは何ですか?
小澤さん:友達にすすめられて読んでみたら、ハマりました。
金原さん:以前に行った読書会でもおすすめしてくれた人がいました。
参加者: 主人公がかっこいいんですよね。
小澤さん:性格はひねくれているのですが、いざとなるとかっこいいです。

心霊探偵八雲

紹介者8 梨屋さん(作家)
趣味: バイオリン、3年前から朗読をしている。

紹介本: 2冊

スピリットベアにふれた島 』 ベン・マイケルセン/作・原田勝/訳 
鈴木出版 ISBN:9784790232346

どんな本?・オススメポイント
不良少年が自然の中で更生していくお話です。主人公はとにかく悪いやつで、読んでいて気持ちいいくらい悪さが突き抜けていました。 今年の中学生の課題図書にもなっているのでぜひ読んでみてください。


紹介後の質問や意見
参加者: 悪かった主人公は結局更生してしまうのですか?
梨屋さん:そうです。でもなっとくできる更生なんです。
悪いときも反抗期などで自分の中に怒りをため込んでしまう、その怒り具合が確かにそういう怒りだなと共感できました。
そしてこの本を読むと自分が生かされているとこの主人公とともに感じる事が出来ました。

金原さん:この作品を訳したのは自分の教え子ですよ。
梨屋さん:そうなんですよね。とても読みやすい訳です。


夏への扉 』 ロバート・A.ハインライン/著・福島正実/訳 早川書房 ISBN:9784150117429

どんな本?・オススメポイント
50年以上前のSF小説でとても有名な古典SFです。
主人公は猫を飼っている30代の男性で、結婚を考えていた女性と親友に裏切られ見返すために冷凍睡眠で未来へ行くお話です。
最初は不幸な主人公なんですが、未来に行くといろいろなことがわかって、バタバタと事件が起きるけど、最後はハッピーエンドです。
表紙に描かれている猫も途中でストーリーに関わってきて、
作者も猫好きに捧げると書いているように、猫好きの方にはぜひおすすめしたい本です。

紹介後の質問や意見
参加者: なぜ復讐のために未来へ行くのですか?
梨屋さん:自分を裏切った女性を見返すためです。
女性は年をとるのが早く、お婆さんになった彼女に若い自分を見せてショックを与えるためです。

スピリットベアにふれた島

紹介者9 有賀さん(中学2年生)
趣味: お笑いを見ることが好き。

紹介本: 『 イニシエーション・ラブ 』 乾くるみ/著 原書房 ISBN:456203761X

どんな本?・オススメポイント
大学4年生の「僕」が大学の合コンで知り合った女の子と最初はラブラブでした。
しかし最後の方は「僕」が東京の会社に就職することになるので微妙になってきます。
最後にすごい仕掛けがあり、女の人は怖いなと思ってしまうお話です。
伏線がすごくて読み返したくなる作品です。

紹介後の質問や意見
参加者: 女の人のどういう怖さが書かれているのですか?
有賀さん:それを話してしまうと仕掛けがバレてしまうのですが、ただうまいことやってるなと思います。
舞台は80年代で、カセットテープのような仕掛けがあります。目次にも仕掛けがあります。
参加者: 有賀さんはカセットテープなんて知っていますか?使ったことはありますか?
有賀さん:使ったこと無いです。でもカセットテープはA面・B面、同時進行で、
それに気づくと女の人は怖いと思います。
読み終えると本当の主人公はこの女の人なのではないかと思ってしまいます。
私は最初に読んだ時と2回目に読んだ時とこの女性の印象が違いました。

イニシエーション・ラブ

紹介者10 山近さん(高校2年生)
趣味: ピアノ 小さい頃から始めて今も続けています。

紹介本: 『 こゝろ 』 夏目漱石/著 角川書店 ISBN:4-04-100120-X

どんな本?・オススメポイント
「私」と「先生」が主人公で、3部構成の作品です。
1部は「私」が「先生」と出会い「先生」の思想などに触れ魅力を感じるようになり、もっと「先生」を深く知りたくなっていきます。
2部で「私」は実家に1度帰っていて、その時「先生」から手紙が届きます。
3部ではその手紙の内容、「先生」の告白が書かれています。
「先生」と親友、「先生」の奥さんとの三角関係が書かれていて、 台詞が自分の中で1つ1つ心に残った作品だったので、今回お勧めしようと思い持ってきました。



紹介後の質問や意見
参加者: 学校の課題か何かで最初に読んだんですか?
山近さん:そうです。現代国語で一部とりあげて授業がありました。
その時全部読んでみたくなって図書館で本を借りて最後まで読んでみました。
参加者: 今、高校など自分の周りで夏目漱石とかを読む人がいますか?
山近さん:あまりいないです。
通っている高校でも部活なども充実しているので、あまり本を読んでいる人がいません。
参加者: 私も以前に読んで、先生も親友の男性もダメな人と思ったのですがどうですか?
山近さん:私は奥さんが「先生」にひかれる理由がちょっとわかります。

こゝろ

紹介者11 緒方さん(水元図書館勤務)
趣味: 音楽を聴くこと。好きなバンドはサンボマスターなど。

紹介本: 『 ほんまにオレはアホやろか  』 水木しげる/著 ポプラ社 
ISBN:9784591119785

どんな本?・オススメポイント
水木しげるの自伝で、かなりの落ちこぼれで中退した学校が5.6校あるそうです。
戦時中には生きて帰れないと思われていた南方の島へ行かされますが、
土俗の人と仲良くなって食料などをもらったりして生き延びました。
水木さんの作品で『総員玉砕せよ!』もお勧めです。ぜひ読んでみてください。

紹介後の質問や意見
参加者: 水木しげるさんは片腕だったと思うのですが、どうしてそうなったのかも書いてありますか?
緒方さん:書かれています。片腕になってしまったのでろくな仕事に就けず、漫画家になったりました。
参加者: 南方にいる時、崖の下で一晩中ぶら下がっていたこともあったんですよね?
緒方さん:ありました。連隊から一人はぐれてしまって、でも生き延びました。

ほんまにオレはアホやろか

紹介者12 高井さん(中学3年生)
趣味: ダンス・音楽を聴くこと 元バレー部

紹介本: 『 3びきのかわいいオオカミ 』 ユージーン・トリビザス/文
ヘレン・オクセンバリー/絵・こだまともこ

どんな本?・オススメポイント
『3びきのこぶた』の狼版のような話です。
3びきのこぶたは最後にレンガの家に住みますが、こちらでは最初にレンガの家に住んでいます。しかしもっと頑丈な家になっていきます。
家を豚が壊していくのですが、ダイナマイトを使ったりします。
これは小学2年生の頃お母さん方の読み聞かせで読んでもらって気に入った絵本です。
それまではあまり本を読まなかったのに、本好きになった思い出の絵本なので今回紹介します。

紹介後の質問や意見
参加者: 好きな場面は小さいころと変わりましたか?
高井さん:小さいころはあまり面白い本を知らなかったのですごく笑えたけど、その気持ちは今は薄れてしまったかなと思います。
参加者: 今でも時々取り出して読んでますか?
高井さん:弟に読んであげています。

3びきのかわいいオオカミ

紹介者13 加藤さん(中学3年生)
趣味: ピアノ 小さいころから始めて今も習っています。 元バレー部

紹介本: 『 半分の月がのぼる空 上・下 』 橋本紡/著 アスキー・メディアワークス  ISBN:9784048685191・ISBN:9784048685207
どんな本?・オススメポイント
純粋な恋愛小説です。ハードカバーのものと文庫のものが出版されています。
文庫の方が先に出版されていて、ハードカバーは後から出版されたのだけど自分は先にハードカバーを読んで気に入りました。
ハードカバーの表紙に彫られた模様も好きです。
文庫の方は中にイラストがあるのですが、ハードカバーで読んでいた時とイメージが変わってしまいました。
ハードカバーは台詞を伊勢弁に修正しています。

紹介後の質問や意見
参加者: 読んだきっかけは何ですか?
加藤さん:文庫の『きみが見つける物語』の中に著者の短編があり、それが面白かったのでこの作品も読んでみました。
参加者: 他のライトノベル作家で好きな人はいますか?
加藤さん:桜庭一樹著の『 GOSICK 』とか好きです。
金原さん:『GOSICK』の新しい版の1巻の解説、僕が書いています。
加藤さん:そうなんですか!?今度読んでみます。

半分の月がのぼる空 上・下

紹介者14 金原さん(翻訳家)
趣味: 三味線。今から何か楽器を習うなら三味線がいいと思います。

紹介本: 『 少年少女飛行倶楽部 』 加納朋子/著 文藝春秋 
ISBN:9784163281605

どんな本?・オススメポイント
みづきちゃんという女の子が主人公で、友だちから飛行倶楽部の副部長が好きだから飛行倶楽部に一緒に 入部してほしいと頼まれます。
飛行倶楽部とは何かというと、あくまで自分自身で飛ぶことを目的としている倶楽部です。
落下は飛行ではない、バンジージャンプはダメ、飛行機はダメ、理想はピーターパン。
部長と副部長しかいない倶楽部でした。
みづきちゃんと友だちが入るが5人以下だとクラブ活動は認められません。
なのでもう一人を探し始めます。
そして高所平気症の女の子が入って、あとにもう一人入ってきて6人で飛べるのかというお話です。
結果的にいえば飛べます。 飛行倶楽部の部長はすごいいやなやつだけど、なぜ彼が飛びたいと思うようになったかも最後に出てきます。


紹介後の質問や意見
参加者: 結果的には飛べるということですが、現実的に飛べるのですか?
金原さん:飛べます。
参加者: 先ほどの紹介だとピーターパンのように飛べたのかと思ってしまうのですが。
金原さん:理想はそうなんですが、ピーターパンにはなれないんです。

少年少女飛行倶楽部

以上のように本の紹介をしていきました。

質問コーナー

普段はなかなかお話をうかがうことのできない先生方といろいろお話をしてみようということで質問コーナーの時間をとりました。


金原さん:片川さんはなぜ中学3年生のころ小説を書こうと思ったんですか?

片川さん:父からパソコンをもらったのでもったいなくて小説を書きました。
そしてせっかく書いたので応募してみました。

 

参加者:梨屋さんは読書家とお聞きしましたが?

梨屋さん:今は仕事で読む本がたまっていて読みたい本が読めないです。
金原さんもたくさん本を読んでいらっしゃると思うのですが、ちゃんと読めますか?
たくさん本を読んでいる人はちゃんと読んではいないと思ってしまうのですが、どうですか?

金原さん:ちゃんと読んでますよ。片川さんは読むのが早いですか?

片川さん:そうですね。早いと思います。

金原さん:この中で情景を頭の中で想像しながら読む人? ストーリーをサーッと追うように読む人?
僕はサーッと読んでいる人なんです。

梨屋さん:たくさんの本を読みたいという気持ちはある。
でも私にはこの時間ではこれしか読めないから、では何を読むかすごく選んで読むようになりました。

金原さん:片川さんは理系の忙しい大学に行っていて本を読む時間はあるのですか?

片川さん:最初は通学の電車で読んでいましたが、大学の近くに独り暮らしを始めたら読まなくなりました。
でも最近また読もうと思って本屋さんに行くようになりました。

質問コーナーようす1

参加者:金原さんはなぜ翻訳家になったんですか?
金原さんが書かれた本には「翻訳家じゃなくてカレー屋になるはずだった」とタイトルがありましたが?


金原さん:あの本に書いてあります。面白いから読んでみてください(笑)。
大学4年生の時就職をどうしようかと悩んで、料理はよく作っていたので料理屋になろうと思いました。
でもお金がないから最初は屋台だろうと思いたったのです。
屋台は当時、ラーメン屋しかなかったから、屋台でカレーを出そう思いました。
しかし、卒論を指導してくれた先生と話をした時に、大学院へ行かないかと誘われて、
大学院に行くことになり、翻訳家になりました。

参加者:作品はどうやって考えつくのですか?

梨屋さん:アイデアはいつもあります。
こういうシチュエーションが書きたい、こういうセリフが書きたいというのが思いついてそれを言わせるために物語をつくります。
作品によって様々だし、作家によっても作り方は様々です。

片川さん:私も同じです。何かを体験してこれを伝えたいというところからストーリーを作っていきます。

片川さん:梨屋さんはいつ(作品を)書いてますか?

梨屋さん:だいたい昼間ですね。いつ書いてますか?

片川さん:朝ですね。授業の始まる前です。

金原さん:いろいろな書き方をする人がいますよね。
芥川龍之介はプロットから、何から何まで頭の中できっちり考えていたらしいです。
書く枚数が決まっていると、ここまでは何枚で書くと先に決めて。
谷崎潤一郎の場合は、何気なく書いていつ終わるかわからないタイプ。
「細雪」も途中で終わっています。田中芳樹さんは今でも原稿用紙に書いているけど、会話だけ先に書いていく。
その次に地を書いていくのですが空いているところでだいたい文を埋められるそうです。
江國香織さんは登場人物を先に考えて、
主要人物を何人か小説の空間に置いてじっと観察するんだそうです。そしてある時ストーリーが浮かぶそうです。

参加者:挿絵などはどうやって決まるのですか?

梨屋さん:希望を編集者に聞かれることもあります。好きな画家とか、こんなイメージでとか、
希望が通ることもあります。編集者に候補者を幾人か挙げてもらって決める場合もあります。

片川さん:私はあまりこだわりがなく編集者におまかせしています。

参加者:お話の内容に担当の編集者さんはどのくらいかかわってくるのですか?

梨屋さん:単行本の書き下ろしは、書き終わったものを渡しています。
連載している作品はあらすじを事前に伝えてチェックが入ります。
書き終わった原稿もハッピーエンドにしてくださいと言われることがあるけど、
私は余韻がある作品が書きたいので、そういう時は話し合いをします。
漫画家みたいに話の中にすごくかかわってくることはないです。

参加者:書き終わるまでは何も言ってこないのですか?

梨屋さん:書き終わったものを見て判断します。

片川さん:私は、最初の「佐藤さん」はかなり書き直しましたね。
賞をとってから1年くらい書き直しと書き増しをしました。
そのあとの作品ではあまりないです。去年出版した「100Km」は最初は短編集に載るはずでした。
でもその中の順番を差し替えたくて新しく書きおろしたら、1冊の本にしましょうと言われて単行本になったのです。

梨屋さん:金原さんは訳をつけた時に文体を変えてくださいとかはないですか?

金原さん:最初に10ページくらいを訳して見せるのでそれはないです。

参加者:皆さんは国語とか英語の成績はよかったんですか?

金原さん:よく聞いてくれました。中学は5・5・5で、高校は3・3・3でした。

片川さん:国語の読解問題とかは得意でしたが、構文とか論文は苦手でした。

梨屋さん:私は国語と体育が一番嫌いでした。物語を読んで主人公の気持ちを答えるのが嫌いでした。
あまり国語の授業は関係ないですよ。

金原さん:私は感想文を書くのが、意外と好きでした。

片川さん:どうやって読む本を決めていますか?

石田さん:あらすじを読んで決めています。

小澤さん:友達にすすめられて。

梨屋さん:図書館にリクエストしたりしてます。

有賀さん:帯を読んだり、装丁などがかわいいもの。

山近さん:母がよく本を読む人なので、母からすすめられる。

緒方さん:新聞の書評などを読んで。

高井さん:図書館でSF小説とかをみて。

加藤さん:短編集を図書館で借りて、よければその作者の長編を読む。

金原さん:なんでもあり。新聞の広告とか見て。

宇梶さん:好きな作家を読む。あとは装丁がかわいかったら。

内田さん:新刊をチェックして。

太田さん:出だしを読んでみて面白かったら。

小柴さん:友達にすすめられて。

片川さん:本屋でチェックして。




以上のように先生方や図書館職員からの質問もあり、かなり盛り上がった時間となりました。

質問コーナー様子2

イベント終了後はみんなで記念写真を撮影し、持参した本のサイン会と参加者同士の交流がありました。

イベント終了後その1

イベント終了後その2

イベント終了後その3

イベント終了後その4

イベント終了後その5

イベント終了後その6

立石図書館YAイベントを無事終えることができました。
参加者にとっては、普段自分が読まない本に触れるよい機会となったのではないでしょうか。
また、なかなかお会いできない作家や翻訳家の方々とお話できたことも貴重な体験になったことと思います。

(学年、所属等は開催当時のものです)